不動産売却後の確定申告を自分でする方法は?手続きの流れと控除の使い方

不動産を売却した後、思わぬ税金の請求書が届いて慌てたことはありませんか。あなたが手放した物件の売却益には税金がかかり、翌年の2月から3月にかけて確定申告が必要です。税理士に依頼すると10万円以上の費用がかかることも珍しくありません。

でも実は、必要な書類を揃えて手順を理解すれば、あなた自身で確定申告を完了できます。国税庁のe-Taxを使えば自宅から申告でき、特別控除の適用で税金がゼロになるケースも多いのです。

不動産売却後に確定申告が必要なケース

不動産を売却したあなたは、税法上の義務を確認する必要があります。売却から得た利益や特定の税制優遇を受ける場合、翌年3月15日までに確定申告を行います。

譲渡所得が発生した場合

あなたが不動産を売却して利益を得た瞬間、税務署への報告義務が生じます。売却価格から取得費と譲渡費用を差し引いた金額がプラスになったら、それが譲渡所得です。

計算式は単純です:売却価格 – (取得費 + 譲渡費用)= 譲渡所得。取得費には購入時の不動産価格と仲介手数料、登記費用が含まれます。譲渡費用は売却時の仲介手数料と測量費、印紙代を指します。

購入時の契約書を紛失したあなたは、売却価格の5%を概算取得費として計算できます。3,000万円で売却した物件なら、150万円が取得費になります。

所有期間によって税率が変わることを覚えておいてください。5年以下の短期譲渡所得は39.63%、5年超の長期譲渡所得は20.315%の税率が適用されます。

令和6年1月1日時点での所有期間で判定するため、平成30年12月31日以前に取得した物件なら長期譲渡に該当します。

特例や控除を適用する場合

譲渡所得がゼロやマイナスでも、特例や控除を受けるあなたは確定申告が必須です。居住用財産の3,000万円特別控除を適用すれば、多くの場合で税金がゼロになります。

マイホームを売却したあなたが適用できる主な特例:

3,000万円特別控除を受けるには、売却日から遡って3年以内に居住していた実績が必要です。別荘や賃貸物件は対象外となります。

相続した空き家を売却するあなたも、条件を満たせば3,000万円控除を適用できます。昭和56年5月31日以前に建築された戸建て住宅で、相続開始から3年後の12月31日までに売却することが条件です。耐震改修または取り壊し後の売却が必要となり、売却価格は1億円以下に限定されます。

確定申告が不要なケース

不動産売却後でも、特定の条件を満たせば確定申告を行う必要がありません。譲渡所得の計算結果や金額によって、申告義務が免除される2つの主要なケースが存在します。

譲渡損失が発生した場合

売却価格から取得費と譲渡費用を差し引いた結果がマイナスになったとき、譲渡損失が発生します。3,500万円で購入した物件を3,000万円で売却し、譲渡費用が100万円かかった場合、600万円の譲渡損失となります。

譲渡損失が生じた場合、所得税と住民税は発生しないため確定申告は不要です。計算式は「譲渡所得 = 売却価格 – (取得費 + 譲渡費用)」で、この結果が0円以下であれば申告義務は生じません。

譲渡損失の繰越控除を利用したい場合は例外です。居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例を適用すれば、譲渡損失を他の所得と相殺でき、控除しきれない金額は翌年以降3年間繰り越せます。

年収800万円の会社員が600万円の譲渡損失を出した場合、その年の所得を200万円に圧縮でき、大幅な節税効果が得られます。

特例の適用条件には、売却した物件の所有期間が5年超であることや、買換え資産の取得に住宅ローンを利用することなどが含まれます。

譲渡所得が20万円以下の場合

年末調整を受けている会社員で勤務先が1箇所のみの場合、譲渡所得を含む給与所得以外の所得の合計が20万円以下であれば確定申告は不要です。

500万円で購入した土地を520万円で売却し、譲渡費用が5万円だった場合、譲渡所得は15万円となり申告不要の範囲内です。

この20万円ルールは所得税のみに適用され、住民税の申告は別途必要です。市区町村役場で住民税申告書を提出し、譲渡所得の詳細を報告することで、翌年度の住民税が正しく計算されます。

複数の所得がある場合は合算して判断します。不動産の譲渡所得が10万円、株式の配当所得が8万円、副業の雑所得が5万円の場合、合計23万円となり確定申告が必要です。

医療費控除や寄附金控除を受けるために確定申告を行う場合も、20万円以下の譲渡所得を含めて申告することになります。

自分で確定申告をするための必要書類

不動産売却後の確定申告を自分で行うには、税務署へ提出する書類を正確に揃えることが成功の鍵となります。書類の準備から作成まで、あなたが迷わず進められるよう具体的な入手方法と記載内容を解説します。

基本的な必要書類一覧

あなたが最初に準備する書類は6種類です。売買契約書(写し)は売却時に不動産会社から受け取った原本のコピーを用意します。契約日・売却価格・物件所在地が記載されているか確認してください。

  • 確定申告書第一表・第二表と確定申告書第三表(分離課税用)は国税庁のホームページから無料でダウンロードできます。第三表は不動産譲渡所得専用の様式で、あなたの譲渡所得を他の所得と分けて計算するために使用します。
  • 譲渡所得の内訳書は4面構成の書類で、売却物件の詳細・取得費・譲渡費用を細かく記載します。取得時の契約書がない場合は売却価格の5%を概算取得費として計上できます。
  • 取得費・譲渡費用の証明書類として仲介手数料の領収書・印紙代の領収書・測量費の請求書を整理します。リフォーム費用の領収書があれば取得費に加算できるため忘れずに保管してください。
  • 本人確認書類はマイナンバーカードのコピーを添付します。マイナンバーカードがない場合は通知カードと運転免許証の組み合わせで代用可能です。

特例適用時の追加書類

3,000万円特別控除を適用する場合、あなたは追加で2つの書類を準備します。住民票の写しは売却後2か月経過後に取得したものを提出します。売却日から2か月以内に取得した住民票は使用できません。

登記事項証明書は法務局で600円の手数料を支払って取得します。オンライン請求なら480円で取得でき、郵送で受け取れます。売却した不動産の所在地を管轄する法務局でなくても全国どこの法務局でも取得可能です。

相続した空き家を売却した場合、被相続人居住用家屋等確認書を市区町村役場で取得します。相続開始直前まで被相続人が居住していたことを証明する書類で、申請から発行まで約1週間かかります。

譲渡所得の内訳書5面は相続財産を売却した際に必要となる追加様式です。相続税の取得費加算の特例を適用する場合は相続税の申告書第11表・第14表のコピーも添付します。

買換え特例を利用する場合、買換資産の売買契約書と住民票の写し(新居用)を追加で準備します。買換え後1年以内に新居に居住することが条件となるため、入居予定日を明確にしておきます。

譲渡所得税の計算方法

不動産売却で得た譲渡所得には分離課税が適用され、他の所得と分けて税金を計算します。税額は譲渡所得金額に税率を掛けて算出し、所得税・住民税・復興特別所得税の3種類が課税されます。

譲渡所得の計算式

譲渡所得の計算式は「収入金額 – (取得費 + 譲渡費用) – 特別控除額」です。収入金額とは不動産を売却した金額を指し、売買契約書に記載された売却価格がそのまま該当します。

取得費は不動産を購入した際の価格に仲介手数料や登記費用を加えた金額です。購入時の契約書や領収書がない場合は、収入金額の5%を概算取得費として計算できます。建物の取得費からは減価償却費を差し引く点に注意が必要です。

譲渡費用には仲介手数料、印紙税、測量費、解体費用など売却のために直接かかった費用が含まれます。修繕費や固定資産税は譲渡費用に含まれません。

特別控除額は条件を満たせば適用でき、居住用財産の売却では3,000万円の特別控除が利用可能です。相続した空き家の売却でも一定条件下で同額の控除が受けられます。

計算結果がプラスなら譲渡所得が発生し、次のステップで税率を掛けて税額を算出します。マイナスの場合は譲渡損失となり、所得税・住民税は発生しません。

税率と所有期間の関係

不動産の所有期間によって税率が大きく変わり、売却した年の1月1日時点での所有期間で判定します。購入日から売却日までの実際の期間ではない点が重要なポイントです。

所有期間5年以下の短期譲渡所得には所得税30%、復興特別所得税0.63%、住民税9%の合計39.63%が適用されます。

2019年4月に購入した不動産を2024年6月に売却した場合、2024年1月1日時点で所有期間は4年9か月となり短期譲渡に該当します。

所有期間5年超の長期譲渡所得では所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%の合計20.315%となり、短期と比べて約19%も税率が低くなります。

2018年12月に購入した不動産を2024年6月に売却すれば、2024年1月1日時点で所有期間は5年1か月となり長期譲渡として扱われます。

10年超所有した居住用財産には軽減税率の特例があり、譲渡所得6,000万円以下の部分は14.21%、6,000万円超の部分は20.315%の税率が適用されます。相続で取得した不動産は、被相続人の取得時期を引き継ぐため、実際の相続日からの期間ではありません。

適用できる主な特例と控除

不動産売却後の税負担を大幅に軽減する特例と控除制度が複数存在します。これらの制度を適切に活用することで、数百万円から数千万円の節税効果を得られます。

3,000万円特別控除

マイホームを売却したあなたは、譲渡所得から最高3,000万円を控除できます。この特例を適用すると、売却益が3,000万円以下であれば所得税と住民税がゼロになります。

適用条件として、売却した不動産があなたの居住用財産であることが必要です。別荘や投資用物件は対象外となります。また、前年および前々年にこの特例を利用していないことも条件です。

親族間での売買や買主が配偶者・直系血族の場合は適用されません。売却後3年以内に新居を購入した場合の住宅ローン控除との併用もできません。

空き家になった実家を相続して売却する場合も、一定の条件を満たせば3,000万円控除を受けられます。相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却し、耐震基準を満たすか取り壊して更地にする必要があります。

特例適用には確定申告が必須です。売却した翌年の2月16日から3月15日までに、譲渡所得の内訳書と住民票の写しを添付して申告します。

相続不動産の特例

相続で取得した不動産を売却するあなたには、複数の税制優遇措置があります。取得費加算の特例を使えば、相続税額の一部を取得費に加算でき、譲渡所得を減らせます。

相続開始から3年10か月以内に売却することが条件です。相続税の申告期限は相続開始から10か月なので、実質的に相続税申告後3年以内の売却が対象となります。

加算できる金額は「相続税額×売却した土地の課税価格÷相続財産の課税価格の合計額」で計算します。例えば、相続税500万円を支払い、相続財産1億円のうち5,000万円の土地を売却した場合、250万円を取得費に加算できます。

被相続人の居住用財産を相続した場合、一定要件を満たせば3,000万円特別控除を適用できます。昭和56年5月31日以前に建築された建物で、相続開始直前まで被相続人が一人で居住していたことが必要です。

売却価格が1億円以下であることも条件です。建物を取り壊して更地として売却するか、耐震リフォームを実施してから売却します。

その他の軽減措置

10年超所有したマイホームを売却するあなたは、軽減税率の特例を適用できます。譲渡所得6,000万円以下の部分は税率14.21%、6,000万円超の部分は20.315%となり、通常の長期譲渡所得よりも税負担が軽くなります。

3,000万円特別控除と併用可能なため、控除後の譲渡所得に軽減税率を適用できます。例えば、売却益が4,000万円の場合、3,000万円控除後の1,000万円に14.21%の税率が適用され、税額は142万1,000円となります。

マイホームの買換え特例を選択すれば、売却時の譲渡所得への課税を将来に繰り延べられます。売却価格が1億円以下で、新居の購入価格が売却価格以上であることが条件です。

譲渡損失が発生した場合、損益通算と繰越控除の特例があります。給与所得や事業所得と相殺でき、控除しきれない損失は翌年以降3年間繰り越せます。住宅ローン残高がある自宅を売却して損失が出た場合に適用可能です。

これらの特例は併用できないものが多いため、どの特例を選択するか慎重に検討する必要があります。

自分で確定申告をする具体的な手順

不動産売却後の確定申告は、正確な手順を踏めば自分で完了できます。国税庁の確定申告書等作成コーナーを活用することで、税理士費用10万円~30万円を節約できます。

1. 書類の準備と整理

売買契約書を手に取った瞬間、あなたは確定申告の第一歩を踏み出します。売却時の契約書だけでなく、購入時の契約書も必要です。登記事項証明書は法務局で600円で取得できます。

取得費の領収書を探すとき、古い書類箱を開けて20年前の仲介手数料の領収書を見つけることもあるでしょう。

譲渡費用として、測量費48万円、解体費用150万円、仲介手数料96万円など、売却に直接かかった費用の領収書を集めます。

給与所得者のあなたは、会社から受け取った源泉徴収票を用意します。確定申告書Bと譲渡所得の内訳書は、税務署窓口で無料配布されています。申告書第三表(分離課税用)も忘れずに受け取ってください。

書類の抜け漏れは申告書の不受理につながります。チェックリストを作成し、各書類にチェックマークを入れながら整理すると、提出前日の午後11時に慌てることがなくなります。

2. 確定申告書の記入方法

確定申告書第一表を開いたとき、あなたは収入金額等の欄から記入を始めます。給与収入800万円を「給与」欄に、不動産売却収入3,500万円を該当欄に記載します。

第二表では、所得の内訳として勤務先名称と支払金額を転記します。社会保険料控除128万円、生命保険料控除4万円など、源泉徴収票の数字をそのまま書き写します。

第三表の分離課税用紙に向き合うとき、譲渡所得の内訳書で計算した譲渡所得1,200万円を転記します。短期・長期の区分を確認し、該当する税率欄にチェックを入れます。

国税庁の確定申告書等作成コーナーにアクセスすれば、画面の案内に従って数値を入力するだけで自動計算されます。

入力ミスを防ぐため、電卓で再計算しながら進めると安心です。記入例PDFをダウンロードして、手元に置きながら作業すると効率的です。

3. 譲渡所得の内訳書の作成

譲渡所得の内訳書に物件の所在地「東京都世田谷区○○1-2-3」を記入するとき、登記事項証明書を見ながら正確に転記します。土地面積165.23㎡、建物面積98.45㎡という数値も、小数点以下まで正確に記載します。

売却価格4,500万円から取得費2,800万円を差し引く計算をします。取得費が不明な場合、売却価格の5%(225万円)を概算取得費として使用できます。仲介手数料148万円、印紙代1万円、測量費35万円などの譲渡費用を合計し、184万円と記入します。

譲渡所得は「4,500万円 – 2,800万円 – 184万円 = 1,516万円」と計算されます。この金額を確定申告書第三表の該当欄に転記することで、税額計算の基礎となります。

計算結果に自信が持てないとき、税務署の相談窓口で無料チェックを受けられます。2月中旬の混雑期を避け、1月下旬に相談予約を取ると、30分程度でアドバイスを受けられます。

確定申告書の提出方法

作成した確定申告書を税務署へ提出する方法は3つあります。税務署への直接持参、郵送、e-Taxによる電子申告から選択できます。

税務署への直接提出

税務署の窓口へ申告書を持参する方法が最も確実です。提出期間は2月16日から3月15日まで(休日の場合は翌営業日)となります。

午前9時から午後5時までの開庁時間内に提出します。混雑する3月上旬を避けて2月中に提出すると待ち時間を短縮できます。窓口では職員が書類の不備をその場で確認してくれるため、修正が必要な箇所をすぐに直せます。

持参する書類:

  • 確定申告書第一表・第二表・第三表
  • 譲渡所得の内訳書
  • 売買契約書の写し
  • 登記事項証明書
  • 取得費・譲渡費用の領収書
  • マイナンバーカードまたは通知カード
  • 本人確認書類(運転免許証など)

収受印を押した控えをその場で受け取れます。この控えは住宅ローンの申請や各種手続きで必要になるため大切に保管してください。

時間外収受箱を利用すれば開庁時間外でも提出可能です。ただし書類の確認を受けられないため、記入ミスがあると再提出になるリスクがあります。

e-Taxを使った電子申告の流れ

e-Taxなら自宅から24時間いつでも申告できます。国税庁の「確定申告書等作成コーナー」でデータを作成し、そのまま送信します。

申告データの作成手順:

  1. 国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」にアクセス
  2. 「作成開始」をクリックし、e-Taxで提出を選択
  3. マイナンバーカードを読み取り、利用者識別番号を取得
  4. 収入金額や所得金額を入力
  5. 譲渡所得の内訳を入力
  6. 特別控除額を入力(3,000万円控除など該当する場合)
  7. 税額を自動計算

データ送信の手順:

  1. 作成したデータに電子署名を付与
  2. マイナンバーカードの署名用パスワード(6〜16桁)を入力
  3. 送信ボタンをクリック
  4. 受付番号と受信通知を確認

メッセージボックスで送信結果を確認します。「正常に受け付けました」と表示されれば申告完了です。添付書類は別途郵送するか、イメージデータで送信します。PDFファイルで保存した売買契約書や領収書をアップロードできます。

確定申告を怠った場合のペナルティ

不動産売却で譲渡所得が発生したにもかかわらず確定申告を怠ると、本来の税額に加えて追加のペナルティが課されます。税務署は不動産の登記情報を把握しているため、申告漏れは必ず発覚します。

無申告加算税と延滞税

3月15日の期限を過ぎても確定申告書を提出していないあなたには、無申告加算税が課されます。納付すべき税額の50万円以下の部分には15%、50万円を超える部分には20%の税率で計算されます。

例えば、譲渡所得税が80万円の場合、無申告加算税は50万円×15%+30万円×20%=13.5万円となります。税務署から指摘される前に自主的に申告すれば5%に軽減されるため、気づいた時点で速やかに申告することが重要です。

延滞税は納付期限の翌日から完納日まで日割りで発生します。納付期限から2カ月以内は年7.3%、2カ月を超えると年14.6%の税率が適用されます(令和6年の場合、実際の税率は2カ月以内が年2.4%、2カ月超が年8.7%)。

100万円の税金を6カ月遅れて納付した場合、延滞税は約3万円になります。故意に申告を怠った場合、10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金という刑事罰の対象になることもあります。

税務調査のリスク

税務署はあなたの不動産売却を法務局からの登記情報で把握しています。売却から約1年後に「お尋ね」という書類が自宅に届き、売却の詳細について回答を求められます。

この段階で虚偽の回答をすると、税務調査の対象となる確率が高まります。税務調査では売買契約書、銀行通帳、取得時の資料すべての提出を求められ、過去5年分まで遡って調査される可能性があります。

調査の結果、申告漏れが発覚すると本税に加えて過少申告加算税10%(隠蔽があれば35%)が課されます。例えば、500万円の申告漏れが見つかった場合、追徴税額は本税と加算税・延滞税を合わせて600万円を超えることもあります。

税務調査を受ける前に修正申告を行えば、過少申告加算税は課されません。売却後に申告が必要だと気づいたら、すぐに税務署の相談窓口で手続き方法を確認することが賢明です。

譲渡所得500万円で無申告だった場合のペナルティ計算例:

項目 金額
本来の譲渡所得税(20.315%) 101万5,750円
無申告加算税(15%) 15万2,363円
延滞税(1年遅れ・年8.7%) 8万8,270円
合計納付額 125万6,383円

自分で行う場合と税理士に依頼する場合の比較

不動産売却後の確定申告で最初に決めるのは、自分で手続きするか税理士に任せるかの選択です。自分で申告すれば費用はゼロ円で済みます。税理士に依頼すると10万~30万円の報酬が発生します。

コスト面での違い

自分で確定申告する最大のメリットは費用がかからないことです。税務署への提出手数料も発生しません。e-Taxを利用すれば自宅のパソコンから無料で申告できます。

税理士への報酬相場は譲渡価額によって変動します。譲渡価額1,000万円未満なら約10万円、3,000万円以上なら15万~20万円が目安です。複雑な特例適用や相続物件の場合は追加料金が発生することもあります。

作業負担と時間の比較

作業内容 自分で申告 税理士依頼
書類収集 2~3日 書類提出のみ
譲渡所得計算 3~5時間 0時間
申告書作成 2~4時間 0時間
税務署提出 半日 0時間

自分で申告する場合、売買契約書や取得費の領収書を探し出すところから始まります。譲渡所得の計算では取得費や譲渡費用を正確に算出する作業が発生します。確定申告書の作成では第一表・第二表・第三表をそれぞれ記入します。

税理士に依頼すれば、必要書類を渡すだけで後の作業はすべて代行してもらえます。申告期限が迫っている2月や3月の忙しい時期でも、あなたの時間を確保できます。

ミスのリスクと対応力

自分で申告する際の最大のリスクは計算ミスや申告漏れです。譲渡所得の計算を1桁間違えただけで数十万円の追徴課税が発生する可能性があります。

特別控除の適用条件を満たしていなかった場合、3,000万円控除が認められず高額な税金を支払うことになります。

税理士は年間数十件から数百件の不動産譲渡申告を扱っています。取得費が不明な場合の概算取得費の計算や、複数の特例から最も有利なものを選択する判断も的確に行います。税務調査が入った際も税理士が対応窓口となり、追徴課税のリスクを最小限に抑えます。

まとめ

不動産売却後の確定申告は複雑に見えるかもしれませんが、正しい知識と準備があれば自分で十分に対応できます。e-Taxを活用すれば自宅からいつでも申告でき、税理士費用の10万~30万円を節約できるでしょう。

特例や控除を見逃さないよう注意深く確認することで、あなたの税負担を大幅に軽減できる可能性があります。申告期限の3月15日に慌てないよう、早めに必要書類を集めて準備を始めることが成功の鍵となります。

不安な点があれば税務署の無料相談窓口を活用できますし、複雑なケースでは税理士への依頼も選択肢として検討できます。あなたの状況に最適な方法を選んで、確実に申告を完了させましょう。

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