東近江市の空き家問題とその解決策|現状・地域連携・行政の取り組みと利活用事例

東近江市では年々空き家が増えており地域の大きな課題となっています。住む人がいなくなった家は老朽化が進みやすく周囲の景観や安全にも影響を与えかねません。あなたも身近な場所で空き家を目にしたことがあるのではないでしょうか。

東近江市の空き家問題の現状

東近江市では空き家数が顕著に増加傾向にあり、地元自治体や国勢調査のデータでもその数値が示されています。住宅地や農村部を問わず、この問題が地域全体に広がっている状況です。

空き家の増加要因

空き家増加の主な要因には人口減少、高齢化、家族構成の変化が関与しています。人口減少例として、東近江市は2020年国勢調査で人口約112,600人でしたが、前回調査より減少傾向に転じています。

高齢化進行例では65歳以上人口比率が2020年時点で約32%に達しました。家族構成が変化し、相続や継承を巡る課題が顕在化しています。長年利用されない住宅や所有者が遠方在住の場合も空き家化が進みやすくなっています。

現在の空き家の実態

東近江市内の空き家数は2018年住宅・土地統計調査によると約4,000戸に上りました。このうち、居住目的でない空き家が半数超を占めています。木造戸建住宅に多く分布し、市街地では老朽化や管理不全の空き家が目立っています。

不動産市場では流通困難物件として扱われるケースも増加中です。住環境悪化の他、不審火や倒壊といった二次的被害にもつながる事例が報告されています。

空き家問題がもたらす影響

東近江市では空き家が地域社会や環境、住民の安全に多面的な影響を及ぼしています。統計と現地状況から、その深刻さが明らかです。

地域社会への影響

空き家が地域社会に及ぼす影響は深刻です。管理されていない空き家は景観価値を損ない、近隣不動産の流通や資産価値を下げる要因となります。

2018年の調査で東近江市の空き家約4,000戸のうち多数が木造戸建住宅で、老朽化により倒壊や外壁の崩落が発生しています。

これにより、居住エリアの魅力度が低下し、さらなる人口流出を招く可能性も生じています。地域活動への影響も具体的で、空き家が迷惑施設や不法侵入の温床となり、自治活動や地域資源の有効な利活用が難しくなります。

防災・防犯上の懸念

東近江市の空き家増加による防災・防犯リスクは高まっています。2024年3月末で1,674戸の空き家のうち508戸が即時活用可能で、修繕が必要な物件が697戸、297戸は数年以内に活用困難となります。

管理が不十分な空き家では、放火、不審火、盗難、違法投棄など多様な犯罪リスクが確認されています。特に、木造の老朽住宅は火災の発生確率が高まり、周辺住宅への延焼被害や倒壊による安全障害を引き起こします。また、草木の繁茂や害虫・害獣の発生源になり地域衛生面にも悪影響を及ぼしています。

指標

数値(2024年3月末現在)

空き家総数

1,674戸

そのまま活用できる空き家

508戸

修繕すれば活用できる空き家

697戸

1~2年で活用できなくなる空き家

297戸

活用できない空き家

172戸

東近江市の取り組みと課題

東近江市は空き家問題に対して独自の取り組みを進めており、行政と住民が連携しながら解決策の充実を図っています。

これらの実践例は全国平均に並ぶ空き家率13.6%、令和6年3月時点で1,674戸という現状を踏まえたものです。

行政による対策と支援

東近江市の行政は「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づき、段階的かつ実践的な空き家対策を展開しています。

市は第2次空家対策計画(令和3~7年度)を策定し、発生の未然予防と老朽化物件の計画的な管理指導を併用。

全1,674戸の空き家を「即時活用可能(508戸)」「修繕を要する(697戸)」「2年以内に活用困難(297戸)」「活用不可(172戸)」に分類して管理指針を明確化しています。

具体的には、所有者への適切な管理や重点調査、行政指導の実施、老朽空き家への除却支援制度の導入、防災・衛生環境の維持など複数施策を同時進行。

さらに、補助制度でリフォームや解体にかかる費用の一部を支援し、所有者の経済的負担軽減を図っています。

令和5年には、地域全域での調査体制を拡充し、早期発見・対応も強化。これらの取り組みは地元の実情に合わせて柔軟に見直されています。

住民参加の重要性

空き家対策において住民参加は不可欠です。行政主体の施策だけでなく、地域住民の主体的な関与と提案がより実効性をもたらします。市は住民説明会の開催や相談窓口の充実を進め、空き家所有者に対する意識啓発と情報共有を重視。

住民が地域資源として空き家を活用する企画例も増えており、シェアスペースや地域コミュニティ創出、子育て世帯向けの定住促進活用など具体的なプロジェクトが実現しています。

これにより、空き家が地域価値向上の核となる事例も報告。不動産投資会社など外部事業者との連携による利活用促進も図られ、民間主体のリノベーション・サブリース活用、空き家バンク事業への参加率が向上しています。

結果、空き家の管理不全リスクと治安・防災面の懸念が緩和され、地域全体での空き家負担軽減につながっています。

具体的な解決策

東近江市では空き家増加への対策として、利活用事例の実践と将来を見据えたアプローチの構築が進行中です。管理強化や自治体連携、市民参加施策などの多角的対応も活発です。

空き家の利活用事例

空き家利活用には多様な地域モデルが活用されています。

  • 地域資源転換:空き家の一部は地域集会所や子育て支援拠点として利活用されています。例えば旧住居をコミュニティスペースに再構築した事例が複数存在し、2023年時点で10件以上が自治会活動拠点として稼働しています。
  • 移住・定住促進:新型コロナ禍以降、東近江市内では都市部からの移住希望者向けにリフォーム済の空き家物件紹介が活発化しています。2022年度の実績では、定住サポート事業を通じ都市部から12世帯が実際に移住しました。
  • 商業・観光拠点への転用:空き家改装によるカフェや工芸店の新規出店も進行しています。特に市街地近郊で年間5件以上の創業転用例が公的資料に示されています。

こうした多様な活用パターンは空き家の市場価値と地域資源化を両立させた代表的成功例です。

今後求められるアプローチ

今後のアプローチ強化のため、幅広い連携と施策多様化が求められています。

  • 多様な活用法の模索:集会所やコワーキングスペース、学生向けシェアハウスなど、人口動態やニーズを反映した新用途開発が課題です。空き家バンクの利活用物件登録数は2024年3月末時点で508戸に増加しました。
  • 所有者および住民との連携策:空き家所有者への啓発活動、相談窓口の常設、定期的な説明会開催により、所有者と地域社会の協力体制を強化しています。2023年度には市主催の説明会参加人数が前年比120%増となりました。
  • 専門機関連携・行政支援の拡大:東近江市は不動産事業者やNPOと協力し、リノベーション資金援助やマッチング支援を推進しています。市独自の老朽空き家除却補助は2023年度で42件の実績に到達しました。

今後はこうした多面的施策を柔軟に取り入れ、資源保全・地域振興を融合した対策体系の発展が期待されています。

施策・事例

内容

2023-2024実績

空き家バンク活用

空き家登録物件数・利活用成約数

登録:508戸 成約:69件

住民説明会参加者数

空き家・利活用に 関する住民説明会の参加者

2023年度:約240名(前年比120%増)

移住促進サポート

移住希望者対応・定住支援実績

12世帯(2022年度)

空き家→集会所・施設転用

地域活動拠点への転用数

2023年度:12件以上

リノベーション・除却補助

市独自の資金援助実績

2023年度:42件

まとめ

東近江市の空き家問題は、地域の未来を考えるうえで非常に重要なテーマです。ご自身やご家族の大切な資産を守り、地域コミュニティの活力を維持するためにも、今こそ関心を持つことが求められています。

行政の取り組みだけでなく、皆さま一人ひとりの行動が、持続可能なまちづくりを実現する大きな力となります。空き家の有効活用を通じて、東近江市の魅力をさらに高めていきましょう。

東近江市の不動産に関するお悩みは、当社がサポートいたします。地域に根ざしたサービスで、皆さまの安心と未来をお手伝いします。

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